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*起承転結の結、つまり最終回!

*五百行を超えた・・・だと・・・!?








「・・・。」

取調べが終わった。

大滝の特殊関係人として呼ばれた遊戯は、隠すことなど何も無い、
全てを話した。

自分は大滝を信じていた。
だが大滝は逮捕された。
また、脱税以外の容疑で再逮捕された。


遊戯はトボトボと警視庁の玄関から降りてきて、
深呼吸をし、
「明日から仕事探さなきゃ」と気持ちを新たに元気よく歩き出したところだ。

駐車場に一台の車が停められて、
そこには、4度目の再会が待っていた。

「・・・。」

別にアテムがいけないわけじゃない。
いけないのは大滝であって、アテムはアテムの仕事があったのだ。

だがそれとは別の件で、
遊戯はアテムに対し、本当に身勝手なことをしてしまった。
それによって、今の二人はなんでもない二人だから、
無視することも出来た。
しかし、直接言葉で謝りたい。弁明をさせて欲しいなどワガママは言わないけれど。

「アテム・・・。」

駆け寄るとアテムもなんだかはっきりしない様子だったが軽く手を挙げた。

「あの・・・。」
「慣れないことで疲れただろう。車で送るぜ。」
「で、でも忙」
「話したいこともある。」
「・・・うん・・・ありがとう。」

黒のマークXに乗り込み、走り出す。
10分ほど経ってから、先に口を開いたのはアテムだった。

「・・・驚かせてすまなかった。」
「そ、そんなの、あ、謝るのはボクのほうだよ!!」
「遊戯が謝る理由はないだろう?」
「でも、だって・・・。」

不本意だったさよらなのメール。
アテムのことを断ち切らない限り、自分はずっと背徳的な感情をちらつかせながら女優をしていた。
全てを忘れるにはあの携帯電話の存在が問題であった。

「遊戯の部屋から発見された携帯電話、データが吹っ飛んでいてな、
結局殆ど何もわからなかったぜ。ただ通信記録だけは確認が取れて、
大滝との連絡をとっていたわけではないことは解った。
遊戯と大滝との個人的接点が遊戯の証言以上のものではないことの1つの証明にはなったようだ。」
「・・・ごめんなさい。ボク・・・そうするしかなくて、でも・・・」

風呂に波紋を作って沈んだ携帯電話。
電源を入れたまま落として、それはあっけなく壊れた。
これで二度とアテムと連絡をとろうとしないだろう。
アテムの選んでくれた携帯電話を見ていることさえ息苦しくて、
押入れの奥の奥にしまった。
捨てることが出来なかったのはある意味幸いだったのかもしれない。

「急に・・・何の理由もないままあんなメールを・・・。」
「あのメールで遊戯が辛い思いをしているのが解ったくらいだ。
気にしてはいない。覚悟は、出来ていたんだ。」
「でも、ボクは、」
「そんなに自分で自分を責めるのは辞めた方が良い。
どうしても自分を責めたいのであれば、半分は俺に担がせてくれ。」
「・・・。」
「気分転換・・・にはならないが事務的なことを伝えておこう。」
「うん。」

アテムが遠回りしていることはわかった。
それを言及する気はない。
この車を降りてしまったら、二度と出会うことは出来ない。
そんな気がして遊戯は怖くなった。
自分で突き放したはずの関係なのに、
遊園地から帰りたがらない子供のようにしがみついていたいと思う。

「色々あるんだが・・・
・・・脱税の概要だけは話しておこう。
大滝は狡猾な男だ、大体2億円脱税していた。」
「におく!?」
「その2億の内訳・・・まず、ビデオの出演料をタレントに支払っていなかった。」
「え?」
「確か35万といっていたな。」
「うん。」
「遊戯が出演した単体物であれば、軽く100万は超えて当然なんだ。」
「そ、そんな・・・。」

短大を出て、1年経っていなかった自分が35万貰えるなどそれだけで驚きだったから、
少ないと思ったことなど一度も無かった。

「本来の契約ではそうなっているんだが、その詳細を説明していなかったようだ。
大滝から取り立てることは十分可能だ。弁護士を雇う必要は出てくるが。」
「でも・・・。」
「細かいところは正確なことはいえないが、
少なく見積もって100万貰えるところを35万しか貰っていないとしたら、
支払われなかったのが月65万、それが2年だとすると幾らになると思う?1000万は超えるぜ。
それだけあれば店を持つ為の資金になるだろう?」
「・・・うん。はぁ・・・ボク、そんなすごい仕事してたんだ・・・。」

大滝は何度も言った。
トップ女優である自覚をもて、と。
月100万も貰えるような仕事をしていたのなら、
大滝の言いたいことも頷ける。

「遊戯の意思に任せるが・・・もし弁護士を探すのなら言ってくれ。
知り合いに腕が立つやつがいる。」
「ありがとう。」
「それと、もう1つ重要なことを伝えておかなければな。
・・・あのマンションの部屋の件なんだが・・・。」

警察に調べてもらったところ、

「あの部屋全体で32の隠しカメラが発見された。」
「32!?」
「ああ。あのマンションは事務所の前の看板女優が大滝から譲り受けたものだった。」
「じゃあ、森住さんを盗撮するために?」
「遊戯もな。」

大滝の収入源を調べていておかしなことになった。
というのも、事務所に所属しない女優の映像がネットで販売されており、
一応出演料の振込みが記載されていたのだ。
実情を調べた結果、
収入源は有名女優にそっくりな女の子の部屋を覗ける、というサービスであった。
そして、そっくりも何も本物、というワケである。

あのマンションに住め、といっていたのは、
確かに遊戯の身を守るという意味がなかったわけではないが、
実際はノーコストで得られていた収入を失いたくないから、だった。

「だが、遊戯がどうしてもあのマンションに住もうとしない。
こうなると、この商売は出来なくなるわけだ。」

そこで考え付いたのが、直接ビデオにとって販売するというものだった。
本人には演技指導として演技をさえ、出演料を払うこともない。
そして「そっくりの女の子」でネット販売する。
入金すると見られる、というシステムにすれば、コストなど殆どかからない。

「それをうまい具合に隠していた、というわけだ。
それ以外にも色々あるが・・・遊戯に関係していたのは主にこの二つか。」
「あの部屋に隠しカメラ・・・そんな・・・。
社長さんは、それで逮捕されたんですね。」
「ああ。それ以外にもかなりあるだろう。
遊戯が被害届を出せば犯罪がまた増えるだろうが・・・流石にそれをする気は無いか。」
「・・・だすとどうなるの?」
「再々逮捕・・・だろう。」
「ボクは被害届を出すことで、他の誰かが同じような目に遭わないのなら、出すよ。」
「そうか・・・。だがここからは俺たちの仕事じゃない、
本当に出すのであれば、改めて手続きが必要だな。」

話が区切れたとき、
車は海岸沿いのPAに止まっていた。

日が沈み始め、海が赤く染まっている。


「事務的な話は終わりだ。
・・・次は、個人的な話もあるが・・・。」

エンジンを切ると、車内には静寂が訪れる。
アテムはフロントガラスの先の夕陽をまっすぐ見つめいて、
夕日の写るその瞳に、この話が酷く哀しいものであるような気がした。

「アテム・・・?」
「あ、いや・・・ここのPAはここら辺で一番夕陽が綺麗に見えるところらしいぜ。」

外に出ようと、促されて車から降りると、
海風が心地よく頬を撫でた。

大きなPAではないが、夕陽スポットとしては有名らしい、
何組か赤く沈む日を眺めている。

斜陽。
美しいと思う気持ちの影に、悲しみを覚えた。

「謝らないといけないんだ。」

同じように夕陽を眺めていたアテムがポツリと呟いた。

「だ、だからそれは!」
「いや・・・ひとまず俺の話を聞いて欲しい。」

口が重く開かれる。
遊戯は黙っていた。

「まず、驚かせてしまったこと。
須藤楓という存在を知ったのは、本当に偶然で、
遊戯と二度目に遭った後のことだった。
俺は心のどこかでそれを否定しようとして、その証拠を探そうとしていた。
だが見つかるわけが無い。
・・・遊戯にそれを聞くことも可能だったんだ。
だが俺はそれをすることが出来なかった。」

聞いたとしたら、遊戯はなんと答えただろう。
素直に答えなかったかもしれない。
そして、ばれてしまったことで、アテムから去ったかもしれない。

「俺はそれが怖かった。
だが、それの方がマシだったと、今思っている。」
「・・・なんで?」
「俺は・・・
俺のために、大滝の脱税を見つけ出したようなものだった。」

映像の中の遊戯が笑っていない、なんていうのは、
ある種の妄想でしかないのだ。
根も葉もない思いつきでしかなかったのだ。

「何らかの理由があって女優業をしていたのではないか、と思っていた。
なのに俺は、遊戯から仕事を奪うようなことに必死になって、今、それを成し遂げて、
心のどこかで満足しているんだ。」

これだけの脱税が明るみになり、それ以外の悪質な手口で社長が逮捕されたとなると、
所属しているタレントもみな、他へ移っていくだろう。中には引退するものもあるだろうが。
倒産するだろうことは目に見えていた。

「もしあの時、俺が潔く諦めていれば、
遊戯は今も仕事を続けることが出来た。給料の問題はあるにせよ、
明日の心配をする必要はなかっただろう。」

解っていても、自分を優先してしまった。
侮蔑されるべきエゴイストである。

だが、遊戯は哀しそうに告げる。
「でも・・・もしそれで別れていたら・・・今こうして一緒にいることも出来なかったよ。
・・・悪いことをした人がそのままなのは、やっぱりダメだと思う。
アテムはお仕事をしたんだ、それだけじゃないか。
キミがキミのなすべきことをして、どうしてそんなに自分を卑下するの?」

最初に会ったときのアテムは、もっとどこか堂々としていて、
自分がわからないことも何でも答えてくれて、
悩みなどなく、自分を突き通していける人だと感じていた。

「・・・だが・・・きっとそれだけじゃない。俺は・・・。」
「キミはちょっと優し過ぎるんだよ。」

アテムは思わず遊戯を見た。
彼女は優しく微笑んでいて、卑下していたのが独りよがりであったことを知った。

「ボクは・・・あの仕事をしていて、まるでボクがボクじゃなくなるように感じてたんだ。
それで、いっそボクは楓になろうと思ったんだ。
でもね、キミと出会って、ボクはやっぱりボクで居たいと思ったんだ。
キミが知ってるのは武藤遊戯であって、キミといるときはボクは武藤遊戯でいられる。
それで・・・ボクは楓になることを拒み始めてた。
折角キミに認めてもらえたのに、また楓になることが嫌だった。
でも楓じゃないとお仕事できないから・・・でも、どんな瞬間も、ボクはキミのことが忘れられなかった。
それで、本当に諦めようって思ったんだ。」
「それがあのメールか・・・。」
「うん。」

少しは楽になった。
だが、心の中から完全に拭い去れるわけではない。

「携帯電話は使えなくなっちゃったけど、キミはボクの中にずっといたんだ。
だから、部屋にキミが入ってきたときは、もう終わりだって思った。
キミの中のボクが楓になっちゃうのが怖かった。」
「俺は遊戯を遊戯としてみてるぜ。須藤楓も含めて全部で遊戯だ。」
「・・・ありがとう。」

アテムは覚悟していた。
もう一度「さようなら」といわれる覚悟を。
しかし、遊戯はアテムを責めようともしない。

おせっかいな同僚の言葉を思い出していた。





「あんたさ、責任感じるんなら、それに対してやるべきことがあるんじゃないの?」


「やるべきこと?」
「そうよ。彼女は収入がなくなるのよ?どうやって生活していくの?」
「・・・。」
「あんたが支えてあげなさいよ。勿論、彼女の同意の後でね。」
「・・・そういうことか。」
「そうよ。どういう形であっても、あんたが本当に悪いことした、何て思うんなら
そういう償い方があるでしょ?
ま、あたしは彼女があんたを責めるとは思えないけどね。
それでも、そういう建前だって

近くにいる言い訳にはなるじゃない。」




「(舞の勘は異常だぜ・・・)」
「?」
「いや・・・遊戯はこれからどうするんだ?」
「ボク?色々あって疲れちゃったからちょっと休みたいけど・・・
次のお仕事探すよ。大丈夫、ボクは目的を持ってるから。
目的を持ってる人は強いんだっておじいちゃんが言ってたもん。」
「そうか・・・だが楽ではないな。」
「でも大丈夫だよ。・・・やっぱり気にしてるの?」
「それは無論だ。
・・・だが、俺がそれでまたうじうじと自虐的になれば、遊戯に怒られそうだ。」
「そんなことないけど!・・・うーん、どうかな。キミはうじうじしてない方がかっこいいよ!」

色々考えた。
自分が近くにいることで、不快な思いをさせるのではないか?とか。
だが、やっぱりできる限りの支援はしたいと思う。

そこにアテムの煩悩が混ざっているのではあるが。


「その・・・もし、その、遊戯が、だ。
遊戯が嫌でなければ、・・・罪滅ぼし、というつもりではないんだが、」

アテムは何だかメリハリの無い口調で、
もごもごさせながら、少し気まずそうに提案をする。

「遊戯がどう思おうが、やっぱり俺が遊戯の仕事を奪ったことは変わりないと思う。
だから、その、できることなら、
どういう形でもいい、遊戯が自分の夢を叶えるのを・・・俺にも手伝わせてくれないか?」
「え?」
「いや、その・・・なんだ、こう見えても結構顔は広いし・・・
多少は力になれるんじゃないかと・・・でも、これは別に個人的なことで、
仕事とは関係ないんだが、・・・偶然出会ったよしみというか。」

遊戯はアテムがどうしてそんなに緊張しているのかわからなかった。
だがその提案が彼の優しさゆえであるということは解って、
手すりに乗せられていた手にそっと手を重ねる。

「ありがとう。」

提案を受け入れてもらえて、少し心が落ち着いた。

自分の煩悩が悟られたかどうかわからない。
だが、この煩悩に関しては何時かきちっと告げようと思う。

「最初は仕事探しから・・・か。良い仕事が見つかると良いな。」
「うん。でもね、その前にお願いしたいことがあるの。」
「なんだ?協力するぜ?」

「ボク、携帯、お風呂に落として壊しちゃったから、新しいの買わなきゃいけないんだ。
でも、そういうの苦手で・・・。一緒に来てくれると嬉しいな。」

もう、仕事の電話と私用の電話を別ける必要はないのだけれど、
アテムの選んでくれた電話だったから。

「楽すぎる仕事だな。何時行く?これから行くか?」
「大丈夫、急いでないよ。それに、これからは、もっと会えるようになるよ。」
「・・・そうだな。」

遊戯はふふっと笑った。
その笑顔は、アテムの中にあったあの哀しげなSOSを全く塗りつぶしてしまった。
心が熱くなるのは、夕陽のせいではない。

やっぱり自分はエゴイストだと思う。
遊戯の笑顔をみて、遊戯の時間を貰って。
今度は彼女が幸せになれるよう、努めてゆくのだ。
それがエゴイストである彼の求めるものだから。




遊戯をアパート前で降ろし、
自宅に戻る車の中で、胸に残るこの熱さに思う。

もし、あの街角でぶつからなければ、
ぶつかって遊戯のヒールが折れなければ、二人は出会わなかったのだろうか、と。

もしあのたった1度の偶然で全てが決まるのであれば、
2度目の出会いなどいらない。

やっぱり3度目は運命か。

だがその運命とは一体何か。
二人が出会うことか?
アテムが遊戯を救うことか?

「そいつはきっと・・・いや、違うな。」

遊戯を幸せにすることは、運命で決められたことではない。
自分の力で幸せにしてみせる。

今度の土曜の予定に胸をはずませて、
彼女の笑顔に思いを馳せた。



またあの夏が来る。









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ながーい間お付き合いいただき、ありがとうございました。

ぐへッ・・・


もっと予備知識がある状態で書けばよかったのですが、
急ぎすぎたかな・・・?


この二人の関係は、またたぶんどっかで書こうと思います。
(といっても、お約束できるものではありませんが)

■補足説明■

*話の最初の方で、遊戯が会いたがらなかったのは、
人と会っていると、スキャンダル等になってしまう可能性があり、
大滝が禁止していた為






以下、余韻を破壊する後書き的一言。

















この設定でero書きたい(余韻崩壊)






以上!
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