諸事情あって話を変えようかと思ったんですが、
一応当初の予定のままにしました。
詳細はあとがきで。
気になる方は先にあとがきを読んでください。
*今回の回は、なんだかEROいシーン・表現が多いです。
*直接的な表現は出来るだけ避けますが、苦手な人は読まないほうが良いです。
*相手はアテムじゃないし・・・
*だいぶ前と時間が空いてしまいましたが、
*あらすじを確認したい方は3話を見ると一番良いかと思います。
*(遊戯視点・登場人物の重複がアリ)
*あと、遊戯の職業がなんだったか知っていれば大丈夫のはず・・・
*これは酷いセクハラ。もっと怒って良いよ。
「お疲れ様ー。」
「お疲れ様でした!」
遊戯はバスローブをまとって、いそいそとシャワールームへ向かう。
「(今日もダメ・・・)」
今日も何度もやり直しにしてしまった。
前までは調子がよかったのだが、最近はどうにもうまくいかない。
数をこなし、望まぬながらも技術的には上がっているはずなのだが、
どうにも良い映像にならない・・・らしい。
原因はわかっていた。
男優とキスをする度に、あの男が思い出されてしまうのだ。
何故好きな人がいるのに、他の男とキスなどしているのだろう、と。
遊戯は割り切れずにいる。
仕事は仕事、そう割り切れればなんでもないことだった。
TVで活躍する女優だってキスくらいしているし、
高校の頃奇跡的に付き合った人ともキスくらいしているし、
こだわることではないというのに。
お湯を出たのを確認して、遊戯は真っ先に唇をぬぐった。
「苦しいよ・・・。」
さっさと諦めれば良い。
とにかくダラダラせず、さっさと家に帰ってゆっくり湯船に浸かって、
煩悩を流しだそうとシャワールームを出た。
すると部屋には大滝が待っていた様子で、手を上げた。
遊戯を招き、隣に座らせる。
「遊戯ちゃん、調子はどうだい?」
「はい、おかげさまで・・・。」
「本当に?」
厳しい視線でこちらを見る。
「・・・今日も撮り直しばっかりで・・・ごめんなさい。」
「いや、気にしないでいいよ。作るなら最良のものにしないとね。
品質を一度落とすと、信頼を取り戻すのは難しいからね。」
「はい。」
「何と言っても君は今一番売れている女優なんだ。
うちの他のも厳選した者揃いだが、君の足元にも及ばないよ。
もっと自信を持った方が良い。」
「ありがとうございます。」
「そうだね、自信と・・・」
その声はとても優しかったのだが、
突然ぐっと肩を引き寄せられ、耳元でささやく声は厳しいものだった。
「自覚を持ってくれよ。」
ビクンと痙攣した。
「マンションの鍵は渡したよね?」
「はい・・・。」
「どうして使わないの?
ばれないように、明かりもつけたり、近くのスーパーで買い物をして、
何とかごまかそうとしているようだけど、
君があのマンションを使っていないことは判ってるんだよ。」
「・・・何でそれが・・・。」
「そりゃあそうだよ。」
立ち上がり、オーバーな手振りをする。
「君はどれだけの男を虜にしていると思っているんだ?
レンタルショップではいつも1位、インターネットでの投票もダントツ、
君のその体は、もう君だけのものじゃない。
彼らが生の君を見たら、触りたくなるだろうね。
君のその華奢な体じゃ、抵抗もままならないだろう?」
確かに自分は自覚が足りない。
自覚が足りないことは自覚している。
だが、あの公園が心のよりどころなのだ。
「社長の言うことが聞けない子は居残りだぞ?」
「居残り・・・?」
「居残り・・・といってもここじゃないよ。私の家に来ると良い。
そこで、特訓だからな。」
遊戯は命じられるがまま帰りの支度を整えると、
大滝の車に乗せられて、男の家へとつれて行かれた。
「立派なおうちですね。」
「そうかい?気に入ったのなら住んで見るかい?」
「え・・・!?」
「冗談だよ。」
部屋に通されるとあったかい紅茶を出された。
それから暫く世間話をしていたのだが、本題が切り出される。
「最近調子が悪いだろう?」
「え・・・」
「ノリが悪いというか・・・。」
「・・・それは。」
「最近ちょっとマンネリだからね。君ももう2年目だし、
今度はもう少し積極的な役も良いかもね。」
「え、あ・・・。」
そういうと大滝はクローゼットを漁っていたが、暫くして戻ってくると
その手には丈の短いワンピースとフリルのついたエプロンがあった。
「着替えてごらん?」
「・・・はい。」
いそいそと着替えて戻ってくると、
大滝はビデオカメラを持ちイスにどすりと腰掛けていた。
「良いかい、今日は君は新妻だ。夫が構ってくれなくて、物足りない新婚生活を送っている。という設定だよ。」
「・・・わかりました。」
「さぁ、こっちへおいで。
ちゃんとカメラを意識するんだよ。」
そういってキスをするよう要求された。
何の神聖さも持たなくなった行為をして、
カメラに向かって「ください」という。
「(体が熱い・・・。)」
気持ちが悪いと思うのに、体は応じようとしている。
胸を強く握られて、口から漏れたのは悲鳴ではなく嬌声であった。
男優とも違う指に強く扱われて、それでも良い声をだして喘いだ。
それは色々な場所で行われた。
キッチンや居間、寝室。
それを「研究だよ、君が一番可愛く見えるところを探しているんだ」と言った。
抵抗の仕方がわからない。
これは演技指導なのだ。
だが、遊戯が本調子になるために必要なことは、こんなことではなかった。
翌日の昼過ぎになって遊戯は漸く解放された。
逃げるように団地の部屋へ戻ると、その場に座り込み咽び泣いた。
大滝にされたことが悔しいとか、苦しいのではない。
彼女の下した決断に、彼女自身が泣いていた。
ふらふらと立ち上がり風呂に湯を張る。
それからまたヨロヨロと鞄を掴んで、何時ものポーチを開ける。
パールピンクの携帯電話に電源を入れ、
送られてきていたメールに目を通すこともなく、すぐにメールを打った。
それは短い文章。
悩まぬようすぐに送信。
送信完了の画面を見ると、彼女の胸のうちは絶望で満たされた。
それから、携帯電話を持ったまま浴室へふらふら近寄って、
張られて行く湯を見据えた。
湯を止める。
自分の顔が写っている。
泣きはらした真っ赤な目。
「あしたもおしごとなのに・・・。」
もうメールは送ってしまったのだ。
もう何も無いのだ。
涙は人の持つものの中でもっとも清いものだという。
彼女の目から彼女の瞳に相応の大粒の涙が頬を伝う。
風呂の湯の水面に、波紋が広がった。
「今日も定時には帰れそうも無いわね。」
「仕方が無い。それに俺には理由がある。」
「そうね。ここまで必死にならないといけない仕事を引っ張ってきたのはあなたのせいじゃないわね。」
「皮肉か?」
「そういうつもりじゃないけど。」
だが舞がこれだけ毎日残業しているのを見ると、この仕事を引っ張ってきた自分に責任があるような気がしてならない。
「先に帰って構わないぜ?」
「そういうわけにもいかないでしょ?
あんた一人にしても良い訳だけど、時間も無いしね。」
「ああ・・・そうだな。」
アテムは胸ポケットから携帯電話を取り出して、
指で画面を掃除しながら時計を見つめた。
「もうすぐクリスマスか・・・。」
「都合はどうなの?」
「年末は会えるか聞いてみたんだが・・・返信はこれからだ。」
「クリスマスまでにはちょっと終わらないかしら。」
「仕方が無い・・・。ん?」
すると丁度メール送られてきた。
背面のランプがピンク色に光っている。
「彼女?」
「ああ。」
「そうよね。あんたにピンクなんてね。」
「何か?」
「何でもないわよ。それで?朗報?」
「ちょっと待ってくれ。」
subject:『本当にごめんなさい。』
『連絡が取れなくなります。いままで本当にありがとう。本当にごめんなさい。』
「『さようなら。』」
場の空気が凍りついた。
「・・・あ、あの、ごめんね、なんか・・・。」
「いや・・・。」
失恋に立ち会うことになるとは思っていなかった。
舞は恐る恐るアテムの様子を伺ったのだが、彼は難しい顔をしているだけだ。
「アテム?」
「おかしい。」
「え?・・・まさか、自分が振られるなんてありえないとかそういうことを言うんじゃないでしょうね。」
「俺は振られても諦めない・・・ってそういうことじゃない。見てくれ。」
アテムはメールの文面を見せて説明する。
「遊戯は文章が長くなる癖があるし、何か断るときは必ずその理由を書いてきた。
それに今まで必ずといって良いほど絵文字か顔文字挿入されてきていた。
だが、今回の件に関してはそういったものが欠けている。」
「・・・お断りのメールだからじゃないの?」
「確かに絵文字等に関してはその可能性はある。
だが、二度と連絡をしたくない相手に“自分が相手を振る理由”くらいは添えるだろう?
そうでなければ問い返してくる可能性が高いのだからな。」
「・・・つまり?」
「遊戯は、俺と決別しなければならない理由があった。
だがそれを説明するだけの体力や気力が残っていない、ということになる。」
アテムの目が本気そのものだったから信じてしまったのか、
或いは彼の珍しい恋が成就することを願っているからか、
その線に全てを委ねようと思う。
「・・・かなり状態が不味いってことね。」
「ああ。余計に時間がなくなったな。」
「そうね。でも・・・妥協する気はないんでしょ?」
「当然だ。」
「無駄話してる時間さえ勿体無いわね。」
「だが、舞は、」
先に帰って構わないが、といおうとしたのだが、
舞はウィンクとして得意げに言った。
「一人より二人の方がはかどるでしょ?」
「ああ。すまない。」
「当然よ。」
メールの文面をもう一度読み直す。
彼女のあの表情がまた鮮明によみがえる。
あれは、遊戯のSOSだったのだ、と思った。
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あと2話・・・
アテムの職業がばれそうな気がしているんですが;;;密に密に・・・
*諸事情についてのあとがき
読んでいて気づいた方もいらっしゃるかと思いますが・・・
隣国の女優さんが性接待を強要させられたと遺して自殺されたニュースをご存知でしょうか?
あの件があったので、内容を変えようと思ったんです。
枕営業というのはインフォーマルな部分であり、問題にもなっています。
それによって自殺された方が居るというので、不謹慎ではないか、と思ったんです。
それでも今回内容を変えなかったのは、
この後の展開の関係とか、キャラの演出の一環、というのもありますが、
・二次元であり実際に被害者が出ているわけではないということ
・それを肯定する内容ではないこと
・隠蔽してはならないこと
と判断したためです。
この件を思い出されて不快な思いをさせた方には大変申し訳なく思っております。
書き手の上記の判断をご理解いただければと思います。
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