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スリーピング・ユウギー(笑)その2

案の定、というか、下手したら4分割w

2人のシーンがムダに長い感じです。
気分的に書きたかったんです。
原作とは結構変えています。


書いていたら良くわからなくなってきたw

闇表強め!
女装あり!

それ以外なし!



 † † †



「イチゴなんて、何に使うのかな・・・。パイとか焼くのかな?」
紅葉はバスケットを片手に、歩きなれた森の中を散歩していました。
もう顔なじみの小鳥が楽しそうに歌います。
「小鳥さんおはよう!ボクは今日もイチゴ狩りだよ。ねぇ何処かイチゴがなってるところはないかな?」
森の動物は紅葉にとって友達でした。
何といっても彼はこの森から出たことが無いのです。
人間の友人など誰もいませんでした。
だから電波ではありません。

小鳥はまるで紅葉の声を理解したかのように、さっと飛び立ち、紅葉はそれを追います。
大丈夫なのです、
たとえ迷ったとしても、森が彼を家まで誘ってくれるのですから。

暫くゆくと小川が見えます。
紅葉は岸辺に腰掛けて、冷たい水に足を浸しました。
すると、暫くしてウサギやリス、クリボーがのこのこと姿を現して、
紅葉の隣に座しました。

「こんにちは!」
獣たちは声など発しません、しかし返事をようにキュウキュウと鳴きます。
そしていつもの様に紅葉の話をまつのです。
「今日もね、夢をみたんだ。」

小さな世界に暮らす紅葉にとって、夢とは無限の世界でした。
しかし最近は同じ夢ばかりを見ます。
紅葉はそれを苦に思うことはなく、楽しそうに語ります。

「今日も同じ夢。
ボクは小さな玩具屋さんに住んでてね、優しいおじいちゃんが居るんだ。
そのおじいちゃんが、ボクにパズルをくれるんだよ。
不思議なパズルなんだって。解くと夢が叶うんだって。」
「クリ~。」
「夢が叶うなら・・・ボクはお願い事は決めてるんだよ。
ボクは親友が欲しいんだ。」
「クリ?」
「キミ達は大切なトモダチだけど、ずっと一緒には居られないでしょ?
だから、一緒に居られる友達が欲しいんだ。」
「クリ~。」
「だからボクは頑張ってそのパズルと解き明かすんだ。」

しかし、
人の夢とは儚いもの。

「なのに、あと1ピースなのに・・・そこで夢は覚めちゃうんだ・・・。」
「クリ~・・・・。」
「寂しいね・・・。」

紅葉は芝生に寝転んで、動物たちと木漏れ日にぬくぬくしていました。
イチゴのことなどすっかり忘れています。
ウトウトと眠りそうな時、突然動物たちが慌てふためき、紅葉も目を覚ましました。
すると、
白い狼が1匹コチラに向かってくるではありませんか。

怯える小さな友達をおいて逃げられるわけがありません。
小鳥は素早く立ち去って、ウサギやリスを逃がした後で、
すがり付いてきたクリボーをきゅうっと抱きしめてやりました。

しかし、紅葉にはどうすることも出来なかったのです。


 † † †


「結婚なんてさっぱりゴメンだぜ。」

男は愛馬にまたがり、城からトンズラしてきたところでした。

自分の身分を考えれば結婚相手が居ることに文句は言いませんが、
相手は花嫁修業だとか明らかな嘘を並べ立てて、
舞踏会にも姿を見せぬ奇妙な人で、その上女ではないとの噂まであります。

「流石に取り消してしかるべきだと思うんだが、何を考えているんだ・・。」

結婚式を控えているのですが、正直そんなものはドタキャンしてやるつもりです。
自分の話を聞かな祖父や親にはウンザリですし、
自分がどんなに非難されても、祖父の顔に泥を塗ってやりたい気分でした。

かといって別に結婚したい相手が居るわけではありませんでした。
多くの着飾った女と会う機会はありましたが、
誰も彼もどこかすれていて、男はウンザリしていたのです。

しかし独身貴族でいるつもりはありません。
どこかに男の求めるような、
小柄で可愛らしく、可憐でチャーミングで、瞳は大きく澄んでいて、
一瞬でコチラの心を解かしてしまいそうな笑顔を持つ、
何にでも優しく接するような、心の美しいヒトは居ないものでしょうか。


多分居ないだろうなんて思いながら、男は森を進んでいきました。


暫くすると、森が騒がしくしているように感じました。
不思議に思い、辺りを見渡すと、
草葉の陰からひょこんとウサギが顔を出しました。

「なんだ?」

続いてリスなども現れて、彼らは男の馬の足元へひょこひょこやってきては、
なにやらキュウキュウ鳴いています。

なつっこい様子に違和感を覚えながら、男は馬から下りると、
リス達は二度三度振り返りながら再び叢へと戻っていってしまいます。

「なんなんだ?」

どうせ暇ですし、男は追うことにしたのです。

ザワザワと掻き分け進んでいくと、
白い狼が何かに向かって威嚇しています。
動物たちが恐れていたのは多分これのことなのでしょう。
何かが狙われているようです。

男は腰にかけていた剣を抜いて、さっと駆け寄り狼の眼前にその切っ先を突きつけました。

「怪我をしたくなければ去ることだな。」

狼は暫く対峙していましたが、男の鋭い眼光に負けたのか、
そのうち怯えた様子で逃げ去っていきます。

歯ごたえのない相手に退屈を感じながら、
「もう大丈夫だぜ?」
と、ふっと振り返ったとき、

紫の瞳とかち合いました。

「あ、」

真っ直ぐな瞳にコチラが恥ずかしくなるようです。

木の根元に座り込んでいたのは、
クリボーを抱きしめた1人の少女でした。

「あ、あの・・その・・・」

少女はもじもじしながら、とりあえずクリボーを解放してやります。
「もう大丈夫だよ。」
「クリ~」

ニコニコ笑っているクリボーを見て少女も少し落ち着いたらしく、
ニッコリ笑い返した後で、
スカートの裾をそっと持ち上げて、
「ありがとうございました。」
と、可憐に礼をするのです。

「い、いや・・・大したことでは、」
男が固まっている間に、
「あの・・・そ、それじゃぁ・・・・」

と、少女はそそくさとバスケットや枝にかけていたストールをとって、
逃げるように駆けて行ってしまったのです。
それにはクリボーも驚いたらしく、
慌てて後を追って行きました。

そこに残ったのは男と足元のウサギたちだけでした。

「あぁ・・・。」

色めいたため息を1つ。
そうです、男の理想としていた、
小柄で可愛らしく、可憐でチャーミングで、瞳は大きく澄んでいて、
一瞬でコチラの心を解かしてしまいそうな笑顔を持つ、
何にでも優しく接するような、心の美しいヒト、
あの少女は正しくその理想像そのままでした。

それをミスミス逃すわけには行きません。

男もまたそれを追うのでした。


 † † †


「びっくりしたぁ・・・。」

肩で息をしたまま、思わず呟きます。

紅葉がこの森で家族以外の人と会ったのは久し振りなのです。
それも自分が1人で遭遇したのは初めてで、
対応に悩みましたが、礼も言いましたし、何とかなったといえそうです。
ただ見知らぬ人と離してはならないと散々聞かされてきました。
「でも、助けてくれた人にお礼は言わないとだめだよね・・・。」

座って追って来た動物たちを愛でていると、気持ちが落ち着いてきました。
しかしそれと同時に彼の胸を占めるものがあるのです。


瞼を閉じると見えるのです、
さっきのあの助けてくれた男の人の姿が。

自分と何処か似ているように見えましたが、
それよりも見知らぬ自分を助けてくれたことを嬉しく感じました。


ルビーのような瞳。
高貴な様子。
剣を取る手。
マハードとは違う声。

「なんだろう・・・不思議な気持ち・・・。ねぇ、なんだと思う?」

ウサギたちに問いかけます。

「すごく、ドキドキするんだ・・・からだが熱いんだ。熱かな・・・?さっき走ったからかな・・・?」

自分の鼓動が聞こえそうなほどです。

「今日は・・・あの人が夢に出てくる・・・そんな気がする。
ううん・・・出てきて欲しいだけかもしれない・・・。」

あの人のことを考えていると頭がぽーっとしてきてしまいます。

「だ、ダメだよね!」

マハードにきつく言われているのですから。
紅葉は何とか違うことを考えようとしました。

「そ、そうだイチゴイチゴ・・・」

バスケットを覗いてもイチゴは1つもありません。
当然です。しかし、ある意味好都合でした。
「さっさと摘んで家に帰ろう。」

遊戯はバスケットを手に、イチゴを摘みに行きました。

小鳥に案内されるがまま、紅葉はイチゴのところへと向かいます。
しかし、途中、小川を渡ろうというとき、
橋の真ん中から川を覗くと、赤くなっている自分の顔が写りドキリとして、
立ち上がった瞬間によろけたのです。

「わああぁぁ!!」

川に飛び込むと覚悟した時、
体が支えられたのに気づきました。

「え、」

恐る恐る顔をあげると、
さっきの男が紅葉の小さな体を支えているではありませんか。

「う、うわあああああ!」
「そんなに驚かなくてもいいだろう?」
「でも、だって!」

紅葉は慌てて男の腕から逃げ出しました。

「何故逃げる?」
「だ、だって・・・あの・・・」

紅葉は視線を合わせようとせず、小さく唸りました。
二度も助けられておきながら流石に逃げるのは失礼であるように思ったのです。

そうもじもじしているのをいいことに男はさっと詰め寄りますが、
紅葉は距離を保つように下がります。
隙を突いて逃げようとする紅葉の腕をぱっと掴んで引き寄せました。
それに紅葉は驚くと同時に、恥ずかしい思いからそれを更に振りほどいてしまうのです。

「そんなに嫌なのか?」
「そ、そうじゃなくって、その、ボク、知らない人とおしゃべりしちゃダメだって言われてて・・・」

男は、言われたことを懸命に守っている姿を、どうしようもなく愛おしく感じました。
「ならば簡単な話だ。」
「どんな話?」
首をかしげ、上目遣いで頬が紅色に染まっているその顔は、
更に男の心を擽ります。

「今此処で知り合えばいい、そういうことだろう?
唯でさえ俺達が出会うのは二度目じゃないか。」
「それはそうだけど・・・。」

詭弁にしか過ぎないということは、紅葉にも解ります。
しかし彼の中に生まれた男への特別な思いは、
疑う理性を宥めすかしてしまうのです。

男がそっと手を差し伸ばすと、案の定それに誘われるように紅葉もまた手を差し出してくるので、
跪き、その甲に口付けをします。
からかうようにゆっくりと見上げると、
真っ赤で、泣きそうな瞳をした愛らしい顔がそこにはありました。

「でも何で・・・。」
「彼らが教えてくれた。」

男が目で指したものは、森の小さな友達でした。
「キ、キミたち・・・。」
「彼らもあなたと俺とが出会うことを祝福しているようだが?」
狼と対峙していた時とは違う、優しい瞳は
紅葉の警戒心をすっかり解いてしまって、
紅葉もふふっと笑い返したのでした。



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